レッスンに訪れる方のお悩みの多くに、
「私、声量がないんです」 と仰る方が多くいます。
ただ、ひとえに「声量がない」といっても、その基準は様々で、近くで聴けば大きいものの、ホールの後ろで聴いた時に聞こえない、という方から、そばで聴いていても、蚊の鳴くような声という方もいらっしゃいます。
また、「自分が感じる」自己評価も、「○○さんに言われた」客観的評価も、陸上競技や水泳のように、「何メートルを何秒で」のような基準に比べれば、非常に曖昧です。
なので、私は、その基準は
「自分が自信をもって発表できる」 ということに終始しています。
さて、自分が発表するのに自信を持てない「少ない声量」だとしたら、その原因は…
私は、大きく4つあると思っています。
- 声帯を充分なスピード(圧力)で息が通過していない
- 声帯が閉じていない
- 息が口の中にダダ漏れしている
- 声は出ているが、響いていない
1の理由は、圧倒的に肺活量が少ないか、腹式呼吸が出来ていないか。
要は、肺の浅い上部で僅かな呼吸を繰り返している場合です。
但し、普通に健康に生活が出来ている人で肺活量が少ない方は殆どいないと推測します。
腹式呼吸が出来ていない事で呼気に圧力をかけることが出来ない場合は、例えば風船を膨らませられるかどうか(風船のタイプにもよりますが、ごく普通の)で分かります。
つまり、音の高さに絶妙にマッチしたスピードが必要なんです。
つまり、沢山の息を出し入れできたとしても、そのスピードが遅すぎると、満足に声帯を震わせることができません。
そして2の声帯が閉じない理由は2つです。
「異物があって閉じない」か、「閉じる力がない」か、どちらかです。
ポリープや炎症など異物、その他病理的な理由がある場合は、病院で解決して頂く必要があります。
病院では正常と言われるのに、声帯が閉じない…
その場合は、声帯周りの筋肉に問題がある場合が多いと思います。
因みに、声帯は筋肉ではありません^_^
声帯自体が伸び縮みはしないらしいです。
その<周り>の筋肉が声帯を伸縮させるんだそうです。
3,息がダダ漏れしている場合…
寒い冬の窓を思い浮かべてください。ハァーっと息を吹きかけると、曇りガラスになりますね。
よく文字や絵を描いたりしたものです。
ハァーの息をかける時、声は出ていましたか?
口から息が出ているだけですね。
声が出ていたとしても、シャーッという音が聞こえたりします。
なんと勿体ない。
実は、日本人は口の中で響きを作りやすいと言われます。
それは骨格と言語が影響しています。
仮に、この状態のまま、力技で少し声量をあげたとしても、口から息が漏れていては(というかそもそも口に空気を送っていては)響きを利用することも出来ず、周波数も低いままなので、遠くには響きません。
なので、私のレッスンでは、そのような場合、無駄に息が漏れないようにするテクニックをアドバイスしています。
4の響いていないとはどういう事かというと、3にも少し通じますが、
声に響きをつけると圧倒的に声量があがって聞こえる、という場合があります。
→では、響くというのはどういうこと?
ある音が発せられた直後に、色々なものに振動し、伝わっていくという事。
そう、声帯の振動で発せられた声は、喉の空間(咽頭)、口の空間(口腔)、鼻の空間(鼻腔)、他にもわずかながら自分の体の骨などにも振動しながら、空気を伝い、周りの壁や窓、天井や床、机や椅子といったあらゆるものに振動が伝わり、最終的に聴き手の耳に伝わります。
その最初の、声帯に最も近い喉の空間(咽頭)、口の空間(口腔)、鼻の空間(鼻腔)は声の良し悪し、大小に最も影響します。なので、この器官を使うテクニックは、歌を歌う時には必須になります。
この響きにについては、ちょっと長くなるのでまた後日。