ある生徒様が、私がピアノの上に置いてあるバッハの宗教曲の本を見て、
「実は私マタイのアリアが歌ってみたかったんです」
とおっしゃいました。
「えっそうなんですか?
じゃぁさわりをちょっと歌ってみましょうか?」
と始めたところ
好きでBGMのように聞いていたそうで、
初めてなのになんとほぼ完璧に歌われているではありませんか。
レコ勉は良くないと言われますが…
それは、どうしてもその演奏している人の癖や間違いを無意識のうちに身に付けてしまうからだと思います。
けれど、楽譜を読むことに慣れていない場合、何時間何日楽譜を眺めていてもなかなか曲のイメージがつかめない、そんな経験ありませんか?
やはり、歌は好きにならないと楽しくないですよね?
しかも、時間に追われ、仕事に追われ、色んなものに追われる現代。
いろんな歌を聴いていろんな曲を聴いて、自分の好きなものを見つけてどんどん歌っていけばいいと思います。
クラッシック音楽を建築に例えると楽譜は設計図です。
いろんな建物を見て、こんな家を建ててみたい、あんなマンションに住んでみたい、そう思ったら設計図を広げてみる、そんな感じで良いのではないでしょうか?
そこから設計図通りに演奏するという努力に取りかかります。
発音を磨き、発声を磨き、楽譜通りに演奏できるようになったら、そこに自分の感性を盛り込んでいく。
21世紀のクラシック音楽との付き合い方をしみじみ考える、今日この頃です。